「過去にクレジットカードの延滞や自己破産など信用情報に傷があると、賃貸契約の審査に落ちる」
こんなうわさを聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか?いわゆるブラックリストに登録されてしまい、要注意人物として認識されることで賃貸契約に影響があるのでは?と思っている人がいるかと思います。
世の中に存在する住居は、大きく分けて持ち家か賃貸です。持ち家のケースではローン借入時に信用情報に傷があると、一般的に借り入れが難しくなります。
しかし、賃貸住宅も仮に信用情報とリンクしていたら、延滞や自己破産の人は家を借りることができずに、ホームレスの人が沢山発生してしまいます。
以下では、実際の信用情報と賃貸契約の審査の関係について解説をしていきます。
信用情報と賃貸契約の審査の関係
信用情報と賃貸契約の審査との関係性は、ほぼありません。
賃貸契約の審査時に不動産会社の担当者が信用情報を閲覧したりすることはなく、最終的に入居が決まるかは家主の判断になることがほとんどだからです。
よって、過去に自己破産やクレジットカードの延滞など信用情報に傷がある人でも、賃貸住宅の契約は可能です。尚、SNSなどを検索し入居希望者が詐欺や強盗などを行う犯罪者であることや、反社会的勢力の人であることが不動産会社の調査で判明した場合には、入居を断られるケースはもちろんあります。
また、入居希望する賃貸が家賃保証会社をつけることが必須である場合、保証会社の審査次第では落ちることがあります。保証会社により審査項目の内容は異なりますが、仮に信用情報を重視する方針であった場合には、審査に通らないこともあるのです。
したがって、信用情報に傷がある人は、連帯保証人をつける物件か保証人不要のUR賃貸住宅などを選ぶのが良いでしょう。
ブラックリストは存在しない
信用情報にブラックリストは存在しません。
過去にクレジットカード払いの延滞や家賃の滞納、自己破産などを行った人が一覧で掲載されている、“ブラックリスト”という名簿が存在すると思っている人が多いようです。しかし、実際にはそのような名簿はなく、ネガティブな信用情報が登録されてしまうことがブラックリストと言われるのです。
これらネガティブな情報は、信用情報を扱う機関同士で共有できてしまうため、当然にこれらを利用する金融機関が閲覧すると、社会的な信用性が低い人という判断となり、ローンやクレジットカードの審査が厳しくなるのです。
信用情報に傷がついていると入居審査で不利になる可能性がある
信用情報に傷がついていると、入居審査で不利になることはあります。それは先述した家賃保証会社を使う場合です。
仮に、入居審査で落とされることが多く、且つここ5年~10年で延滞や滞納・自己破産など、身に覚えがないときには、一度信用情報を確認するのが良いでしょう。もし、間違った情報が記載されているようなときは、削除や訂正の申し出をすることができます。
信用情報は5〜10年で削除される
信用情報は5年~10年で更新されます。つまりブラックとして信用情報に登録されても、最長10年で削除されます。
信用情報の確認方法
先述したように信用情報は、自らで確認ができます。
その方法とは、信用情報を扱う機関に「開示請求」を行うことです。過去に、信用情報に載りそうなトラブルがあった場合には、確認するほうがよいでしょう。
これら本人開示制度は、パソコン・スマートホンなどのWEB上や郵送、若しくは窓口にて申請できます。尚、本人開示制度を利用するには、1,000円程度の手数料・開示申請書・身分証明書が必要になります。
また、個人信用情報を扱う期間には、「全国銀行個人信用情報センター」、「CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)」、「日本信用情報機構(JICC)」があります。これら3つの違いは、加盟している会社の違いです。どこにどのような情報が載っているかは、個人ではわからないため、原則3社とも開示請求をするのがよいでしょう。
信用情報に傷がある場合の審査のポイント
信用情報に傷があった、でも家は借りないといけない。このような状況になったとき、どのような対策をすれば入居時の審査には通りやすくなるのでしょうか?
ここでは、信用情報に傷がある場合の審査のポイントについて解説します。
①家賃の安い物件を選ぶ
ポイント一つ目は、家賃の安い物件を選ぶことです。安いというのは、周辺の相場よりも安いという意味合いもあります。
「家賃が安い物件=入居者集めに苦労している物件」である場合が多く、立地が不便か辺鄙な場所、築年数が経過し設備や内装が古い、孤独死や自殺があった事故物件などの要因で入居者が集まらない物件は家賃が安い傾向にあります。
つまり、家賃を安くすることでお得感を出し、入居者を集めたいと家主が考えていることが多いのです。賃貸経営において空室期間が長引くことは、収支に相当な影響を与えます。さらに、築年数が経過すれば外装や内装の補修や設備の修理など、建物の修繕や維持管理にも莫大な費用が掛かります。よって、少しでも空室期間を無くしたいと思うのが家主の考えになるのです。
そのため、信用情報に傷がある人が来たとしても、その人の属性や支払い能力、保証人の信用性があれば家主は貸したいと思うのです。
また、過去に自己破産などをしているケースでは、将来を見据え住居費用を抑える意味でも、とりあえずブラックな情報が掲載されている間は、家賃が安い物件に留まるのがよいでしょう。
具体的には、手取りの1/4以下に抑えるのがよく、このようなケースでは家賃を限界まで落としている人が多いようです。
②信用のある保証人を立てる
ポイント二つ目は、信用のある保証人を立てることです。
家主が心配するのは、延滞や滞納などを起こされ家賃の支払いが滞ることです。特に、家主自体もアパートローンの支払いがある場合には、賃借人からの賃料がきちんと入る前提でいるので、一時期でも家賃の滞納を起こされると収支計画が狂うこともあります。
よって、仮に賃借人から家賃回収ができなくても、バックアップする保証人の支払い能力がしっかりしていれば、家主は安心して貸すことができます。
支払い能力が高い兄弟姉妹や親などの身内を保証人にすることができれば、入居審査が通りやすくなります。
③言動に気をつける
ポイント三つ目は、言動に気を付けることです。
自らの所有物を他人に貸す時には、部屋を綺麗に、大事に、丁寧に使ってくれる人に貸したいですよね。
家主も同じような考えを持っていることが多く、自らが貸した住宅は綺麗に、大事に、丁寧に使ってくれる人に貸したいと思っています。このような人であれば、入居中や退去時にも大きなトラブルを起こすことが少ないからです。
よって、不動産会社への問い合わせ時や店舗等での面談時は、言葉使いや態度には気を付けましょう。不動産会社は、入居時の審査にて収入や職業など支払い能力を見るほかに、入居希望者の素行なども見ています。
家主への入居希望者の紹介は、基本仲介する不動産会社が行うので、面談した担当者等への暴言や態度の悪さなどはそのまま家主へと報告され、結果的にその人の素行等にて家主が入居を拒否することがあります。
したがって、賃貸住居を探す際、不動産会社の担当者などには、丁寧な言動を心がけることが大事になります。
④預貯金審査をしてもらう
ポイント四つ目は、預貯金の審査をしてもらうことです。
先述したように、家主は家賃を延滞や滞納されることも最も嫌います。よって、支払い能力を証明できるものを提示することで、信用度がアップします。
その一つが、預貯金額になります。仮に、その人に仕事がなくても預貯金があれば、返済能力は成り立ちます。例えば、家賃5万円のアパートで預貯金が1,000万円ある人が来たら、今後2年間更新月までは十分家賃を支払える能力があると判断できるでしょう。
つまり、信用情報に傷があろうとも家賃の支払いができる能力が証明できれば、家主的には問題ありません。
⑤独立系保証会社を利用する
五つ目は、独立系の保証会社を利用することです。
独立系の保証会社は、設立が浅く保証人受け入れの実績が乏しいケースが多くあります。
よって、今後保証会社の信用性を上げていくには、実績を作るしかありません。
つまり、実績を作るには審査を甘くし、来た案件を取り込んでいく必要があります。他の家賃保証会社に比べて通りやすい状況であることが推測されるので、信用情報に傷がある人でも審査が通りやすい可能性があります。
信用情報に傷がある人におすすめな物件の特徴
では、信用情報に傷がある人はどのような賃貸物件を探せば良いのでしょうか?
以下に、信用情報に傷がある人におすすめな物件の特徴を挙げてみました。
信用情報に傷がある人におすすめな物件の特徴
- 家賃が安い物件(周辺相場より安い物件)
- 最寄り駅から15分以上、若しくはバス便など立地が悪い物件
- 築年数が30年以上など、外装からも建物の傷みが分かるような古い物件
- 連帯保証人で借りることができる物件、若しくは保証人なしで借りられる物件
これらの条件を満たすのは、駅から離れ築年数が相当数経過したアパートが該当しそうです。例えば、家賃は5万円前後、最寄り駅まで20分、築年数は40年、連帯保証人のみで借りられるような物件となります。
設備は古く住み心地は良くない可能性はありますが、信用情報がクリーンになるまでは辛抱しなければなりません。
信用情報に傷がある人は避けるべき物件の特徴
一方、信用情報に傷がある人が避けるべき物件の特徴とは何でしょうか?
以下に、挙げてみました。
信用情報に傷がある人は避けるべき物件の特徴
- 最寄り駅10分以内など好立地な物件
- 築浅物件若しくは新築物件
- 家賃が高額な物件
信用情報に傷がある人が避けるべき物件の特徴は、最寄り駅に近いことや築浅物件などの人気物件です。
これらの物件を所有する家主は、一般的に賃借人の需要が絶えない地域ではあるので、誰に貸すかの選別をします。当然に過去に延滞や滞納があった人については信用度が低く、家主には敬遠されてしまいます。
また、マンションなどの家賃が高額な物件については、一定の需要が見込めることから家賃を高額に設定できています。家賃が高額であるということは、社会的な信用性や属性・収入などがきちんとしている必要があります。
よって、このような物件を借りることも難しいでしょう。
審査に落ちた時の対処法
では、入居審査に落ちた場合にはどのような対処法があるのでしょうか?
以下では入居審査に落ちたときの対処法を4つご紹介します。
①再審査をしてもらう
入居審査に落ちたときの対処法一つ目は、「再審査をしてもらう」です。
これは保証会社が原因で審査が落ちた場合に、別の保証会社にて再審査できることがあります。物件によっては、保証会社の第一候補に信販系、第二候補に独立系の保証会社を設定していることがあります。
②親名義で代理契約する
入居審査に落ちたときの対処法二つ目は、「親名義で代理契約する」です。
具体的には、収入が安定している親に代理契約してもらいます。代理契約は、3親等以内の親族であれば行えます。尚、代理契約の場合には入居者の住民票などが必要です。
③アリバイ会社を利用して賃貸を借りる
入居審査に落ちたときの対処法三つ目は、「アリバイ会社を利用して賃貸を借りる」です。
アリバイ会社を利用することで勤務先や年収を偽装し、賃貸の審査を通す方法となります。アリバイ会社の利用はリスクあることになるので、最終手段と考えておきましょう。
④家賃を前払いして賃貸を借りる
入居審査に落ちたときの対処法四つ目は、「家賃を前払いして賃貸を借りる」です。
月ごとに支払う家賃を前払いできたら、家主は賃料を確実に回収できます。よって、家賃の前払いにより審査が通る可能性は高くなります。前払いする賃料は契約にもよりますが、概ね半年から1年分程度が多いようです。
【信用情報と賃貸契約の審査の関係|ブラックリストは審査に落ちる?】
まとめ
信用情報と賃貸契約の審査には、ほぼ関係性はありません。よって、信用情報に傷がある人でも賃貸契約を結べます。ただし、家賃保証会社を使うと保証会社の審査で落ちることもあります。
特に、信販系の保証会社の場合には、審査が厳しいケースもあるので保証会社を使うなら独立系の保証会社を使うのがおすすめです。
尚、保証会社は物件により選べないこともあるので、今回のような場合には、連帯保証人の物件、若しくは保証人なしで住めるUR賃貸住宅のような物件を、まずは優先的にピックアップするのがよいでしょう。