パートでも賃貸審査は通過できる?

パートでも賃貸審査は通過できる?

賃貸物件は申し込めばすぐに借りられるわけではなく、入居審査に通る必要があります。入居審査で特に重要なのは、毎月滞りなく家賃の支払いができるかという支払い能力です。

その他にも、隣人とトラブルを起こさない人か、部屋をきれいに使ってくれる人かなど、入居希望者の人物像もチェックされます。では、正社員・パートなどの雇用形態も審査対象なのか、また、支払い能力とはどのくらいの収入が必要なのでしょうか。

ここでは、パートの人が賃貸物件を借りられるかについて解説します。

【結論】賃貸借契約は可能

結論から言うと、雇用形態がパートの人でも入居審査に通れば賃貸借契約は可能です。

しかし、正社員とパートを比較すると、やはり雇用の安定性という面から入居審査に通りにくいのも事実です。自分の気に入ったお部屋を借りるためにも、入居審査でチェックされるポイントにクリアする必要があります。

前述したとおり賃貸物件の大家さんや管理会社にとって特に重要なのは、家賃を滞納しない支払い能力です。たとえパートでの収入が多い場合でも、雇用形態によって審査が厳しくなる場合も少なくありません。

安定した支払い能力を証明するために、連帯保証人も重要となってきます。正社員に比べるとパートの人の審査はハードルが上がるため、入居審査時にチェックされるポイントを確認しておきましょう。

入居審査時にチェックされるポイントは4つ

入居審査時にチェックされるポイントとして、以下のような4つの項目があります。

入居審査時にチェックされるポイント

  • 勤務年数
  • 収入に対する家賃の割合
  • 連帯保証人の続柄、収入状況
  • 入居者の人柄、態度

勤続年数によって安定した収入があるか、また、今後の雇用の安定性があるかなども審査されるポイントのひとつです。

収入に対する家賃の割合は、一般的に「月収の3分の1以下」が目安とされています。また、連帯保証人は入居者が家賃を滞納した場合など、万が一の補償のために必要です。

その他にも、賃貸物件の入居者の人柄や態度も審査のポイントとなり、不動産会社への対応も審査の対象となります。マナーが悪いと審査に落ちる場合もありますので、誠実な対応を心掛けましょう。

審査を通過しやすくするコツ

審査を通過しやすくするコツは、前述した入居審査時にチェックされるポイントにクリアすることです。勤続年数が長く貯金がある場合は、貯金通帳のコピーで金銭的な安定をアピールしましょう。

収入に対する家賃の割合を「月収の3分の1以下」に抑えることもポイントで、例えば賃貸物件の家賃が6万円だった場合の月収の目安は18万円となります。収入に対する家賃の割合が高い場合は審査に落ちてしまうこともありますので注意が必要です。

連帯保証人の収入や勤務先なども入居者同様審査の対象となりますが、安定した収入があれば特に問題なく入居審査に通るでしょう。

また、賃貸物件の入居者は、貸してもらう立場であることを忘れてはいけません。大家さんにとっては「生活マナーを守れる人か」「近隣とトラブルを起こさない人か」「物件を大切に使ってくれる人か」が重要ですので、丁寧な対応で良い印象を持ってもらいましょう。

パートで一人暮らしを始める際の必要な資金

パートで一人暮らしを始める際の必要な資金

賃貸物件を借りて生活をスタートさせる際、大きく分けて4種類の費用が必要となります。

パートで一人暮らしを始める際の必要な資金

  1. 賃貸物件の初期費用
  2. 家具家電や生活必需品の購入費用
  3. 引越し費用
  4. 引越し後当面の生活費

一人暮らしの場合、約50万円の費用が必要となりますが、もしもの時のためにもう少し準備しておくと安心です。抑えられる費用もありますので、具体的に何にいくらかかるのか確認して、必要な資金を準備しておきましょう。

この項目では、パートで一人暮らしを始めるときに必要な資金について解説します。

①初期費用の相場は家賃5~6ヶ月分

初期費用とは賃貸借契約の際に支払うお金で、相場は家賃5~6ヶ月分が目安とされています。

例えば、家賃6万円の場合は30万円~36万円、家賃7万円の場合は35万円~42万円となり、まとまった資金の準備が必要です。

主な初期費用の内訳は下記のとおりです。

主な初期費用

  • 敷金:家賃1~2ヶ月分(0円の場合あり)
  • 礼金:家賃1~2ヶ月分(0円の場合あり)
  • 前家賃:家賃1ヶ月分
  • 日割り家賃:家賃1日~1ヶ月分
  • 仲介手数料:家賃0.5~1ヶ月分+消費税
  • 火災保険料:1.5万円~2万円ほど
  • 保証会社利用料:2万円ほど(保証人不要の場合)
  • 鍵の交代代:1万円~2万円ほど
  • クリーニング代:3万円~4万円(入居時もしくは退去時)

初期費用は特に敷金礼金の割合が大きくなりますが、敷金礼金0円の物件を取り扱っている不動産会社もあります。

②家具家電や生活必需品の購入費用

家具や家電、生活必需品の購入費用として、20万円ほど準備しておく必要があります。

入居後すぐに必要な家具家電は、主に次のとおりです。

入居後すぐに必要な家具家電

  • 照明
  • カーテン
  • 寝具
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • キッチン用品
  • バス・トイレ用品
  • その他小物類(ゴミ袋や物干し竿など)

まずは必要最低限のものだけ購入し、生活を始めた後に少しずつ買い足していくのがおすすめです。最初から大型家具を購入しなくても、ホームセンターで販売しているカラーボックスなどで対応できる場合もあります。

また、イケアやニトリで販売している「初めての一人暮らしセット」や、CLAS(クラス)の「家具家電のサブスク」などもあるので、金額を比較しながら自分の生活に必要な家具家電選びをしましょう。

③引越し料金

引越し料金は、荷物の量や移動距離だけでなく、引越しの時期や時間帯によっても変わります。特に春の引越しシーズンでは引越し業者も繁忙期となるため、価格が高くなることが予想されます。

例として、一人暮らしの場合だと約4.5万円~8万円ほどが料金相場です。冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は引越し業者を利用し、小さな家具家電は自分で運ぶことで引越し費用を抑えられるでしょう。

自分で荷物を運ぶ際、家族や友人の手を借りて引越しを手伝ってもらえれば、費用も節約でき時間も短縮できます。その場合は手伝ってもらったお礼として、「謝礼金を渡す」「引っ越し作業後に食事をごちそうする」「お礼の品を贈る」などで感謝の気持ちを伝えましょう。

④引っ越し後当面の生活費

賃貸物件で新しく生活をスタートさせる際、前述した家具家電や生活必需品以外にも、インテリア雑貨やこまかい日用品の購入などで何かとお金がかかります。生活費とは別に、5万円ほどの資金を準備しておくと安心です。

また、引越し後すぐに使用する電気・ガス・水道の手続きも必要となりますが、不動産会社から連絡先などの説明があるでしょう。電気と水道は電話で連絡後、すぐに使用できる場合が多いのですが、ガスの開栓はガス会社との立ち合いが必要です。

物件によってはガス会社に1万円ほどの保証金を支払う場合もあります。保証金は一般的に退去時に返金されるものですが、ガス会社に事前に確認しておきましょう。

ちなみに、都市ガスとプロパンガス(LPガス)は種類が違うため、コンロを購入する際は注意が必要です。

初期費用を30万円以内に抑えるポイント5つ

初期費用を30万円以内に抑えるポイント5つ

賃貸物件を借りるには多くの資金が必要なため、できるだけ費用を抑えたいという人も多いのではないでしょうか。

費用を抑えるためには妥協しなければいけないこともありますので、条件の優先順位を決めておくことをおすすめします。

初期費用を30万円以内に抑える大まかなポイントは次の5つです。

初期費用を30万円以内に抑える大まかなポイント

  1. 家賃を安くする
  2. 立地条件を見直す
  3. 建物の優先条件を見直す
  4. 仲介手数料、敷金、礼金を抑える
  5. 家具家電付き物件、引越し代の安い業者を探す

ポイント①家賃を安くする

初期費用を抑える1番の方法は、当然ですが家賃の安い物件を見つけることです。

敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用は、家賃の金額を元に計算されます。家賃が安ければ、その分初期費用も安く抑えられます。とは言っても、自分の気に入った部屋の家賃が高い場合もあるでしょう。

しかし、支払える家賃や初期費用をあらかじめ計算して物件を探さないと、入居後に生活が苦しくなってしまいます。立地が良く、広くて設備も整った物件は、その分家賃も高くなります。

また、家賃予算オーバーの物件をはじめに内見すると、その後、家賃の安い物件を内見した時に魅力を感じずがっかりしてしまう人も。今後の支出も考えて家賃の予算をしっかり決め、その中で自分のライフスタイルにあった物件を探すことが大切です。

ポイント②立地条件を見直す

物件を探す時、「立地」を優先するか「部屋の広さや設備」を優先するかがポイントになってきます。駅やスーパーなどへの交通アクセスが便利な立地の物件は、時間の短縮や効率化が図れるといったメリットがあります。

しかし、人気エリアや交通アクセスの便利な物件は、その分家賃が高くなってしまう傾向があります。家賃の予算内で立地を優先したい場合、築年数が経過している物件や部屋が狭いなどといったこともあるでしょう。

立地条件を緩め、少し郊外まで選択肢を広げることによって、物件の家賃も変わってきます。電車・自転車・徒歩などの移動手段も合わせ、どこまでなら生活に支障がないかを考えてみて、ライフスタイルに合わせた立地条件を決めることが大切です。

また、快適な生活を送るためにも、周辺環境などの治安も確認しておきましょう。

ポイント③建物の優先条件を見直す

建物の優先条件には、主に次のような条件があります。

建物の優先条件例

  • バス・トイレ別
  • 間取りや階数
  • キッチンの広さ
  • 室内洗濯機置き場
  • 収納
  • セキュリティ
  • 駐車場・駐輪場
  • 築年数
  • 建物の外観

予算内の家賃で物件を探す時、希望の条件を妥協しなければならないことも出てきます。部屋を借りたとしても、自分にとって不便な生活はストレスに感じることがあるかもしれないので、生活のイメージを持って選びましょう。

逆に、「条件に合う物件が見つからずに妥協したけど、住んでみたらそんなに気にならない」ということもあります。築年数や建物の外観は、住んでみたら意外に気にならないという人も多くいます。

「これだけは譲れない」といった条件がある場合は優先順位を決めておき、柔軟に緩めていきましょう。

ポイント④仲介手数料、敷金、礼金を抑える

賃貸物件の中には、「敷金礼金0(ゼロ)の物件」や「仲介手数料が家賃0.5ヶ月分+消費税の物件」もあります。

敷金とは、家屋の貸し借りの際などに借主が貸主に担保として納める、いわば保証金です。最初に大家さんに預けておくお金ですので、退去する時に返金されるのですが、部屋の原状回復などの修繕費として使用されるため、修繕費用を差し引いた金額が返金される仕組みです。

礼金とは、謝礼金として借主が貸主に納めるお金で、敷金とは違い返金はされません。

仲介手数料とは、不動産会社へ支払う手数料で、物件探しや内見の手配、その他さまざまな手続きに対してのサポート料として支払うお金です。

「敷金礼金ゼロ」「仲介手数料家賃0.5ヶ月分」の条件で気に入った物件が見つかれば、初期費用を減らせられるでしょう。

ポイント⑤家具家電付き物件、引越し代の安い業者を探す

家具家電付きの物件には、以下のような備え付けがあります。

家具家電付き物件の備え付け例

  • テレビ
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • エアコン
  • コンロ
  • ベッド
  • カーテンなど

物件によって備え付けの家具家電が異なるため、入居の契約前に確認が必要です。

家具家電付きの賃貸物件は、初期費用を大幅に抑えられることがメリットですが、その分家賃が高いことがデメリットとなります。住む期間が長期間の場合は割高になってしまいますが、半年~2年程度といった短期間の場合、家具家電付き物件はとてもお得です。

引越し費用は業者によって金額が違いますが、インターネットで見積もりが可能な業者もあるため、いくつか見積もりして比較してみるのもいいでしょう。なお、見積もり費用はほとんどの業者が無料です。

初期費用30万円以内のシミュレーション

この項目では、初期費用を必要最小限に抑えた場合のシミュレーションをしてみます。

家賃6万円で敷金礼金ゼロの物件、仲介手数料は0.5ヶ月分、月末の9/30に入居という条件で見てみましょう。また、引越し作業は家族や友人に手伝ってもらい、家具家電は10万円以内とし必要最低限で抑えることにしました。

初期費用30万円以内のシミュレーション

  • 敷金:0円
  • 礼金:0円
  • 前家賃:60,000円
  • 日割り家賃:2,000円
  • 仲介手数料:33,000円
  • 火災保険料:20,000円
  • 鍵の交換代:20,000円
  • 引越し代:0円
  • 家具家電購入費:100,000円
  • 合計:235,000円

この例では敷金礼金ゼロ物件のため、合計金額を23万5千円まで抑えることができましたが、敷金礼金1ヶ月だと12万円プラスとなり、合計金額も35万5千円となります。

また、敷金礼金ゼロ物件の注意点として、退去時にハウスクリーニング代が必要となる場合が多いため、契約内容の確認が必要です。

敷金礼金ゼロの物件がない場合は、立地や建物の優先順位を緩めて家賃を安くし、家具家電購入費を抑えることによって、初期費用30万円以内が可能となるでしょう。

【まとめ】パートで賃貸の審査に通るには?通過するポイントや必要な資金について解説

【まとめ】パートで賃貸の審査に通るには?通過するポイントや必要な資金について解説

  • 入居審査時にチェックされるポイントをクリアすれば、パートの場合でも賃貸借契約は可能
  • パートで一人暮らしを始める際は、「初期費用」「家具家電や生活必需品の購入」「引越し料金」「引越し後の生活費」の、まとまったお金が必要
  • 初期費用を抑えるポイントは「家賃」「立地」「建物の優先条件」「仲介手数料・敷金・礼金」「家具家電付き物件・引越し代」を見直す

賃貸物件を借りる時はさまざまな費用がかかるため、計画的に準備しておきましょう。